goo ニュース - (朝日新聞)
韓国の新聞法、28日施行 「標的」3紙は猛反発 韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権に敵対的な論調の大手紙に様々な規制を課して、影響力を低下させることを狙う新聞法が28日、施行される。主要3紙は「悪法の施行は自由民主国家の恥」(東亜日報)と猛烈に批判。一方で3紙以外の新聞普及のために政府が共同販売網づくりに出資するため、恩恵を受けるハンギョレなどは歓迎しており、メディアは真っ二つに分断されている。
「新聞等の自由と機能保障に関する法律」で、立法趣旨は言論機能の保全や読者の権益保護とされる。だが、標的が「朝中東(チョ・ジュンドン)」と呼ばれる朝鮮日報、中央日報、東亜日報の3紙にあるのは政府や与党・開かれたウリ党も認めている。盧大統領の前の金大中(キム・デジュン)前大統領時代から一貫して政権批判を続け、盧大統領自身、「朝、目を通すのも胸が痛い」と嘆くほどだ。
3紙は軍事政権時代に販売網の基礎をつくり、豊富な販売拡張資金で現政権に好意的な他紙を排除している、と与党は見て法成立に力を入れた。軍事政権を否定し、歴史の見直しを進める流れと同一線上にある。
新聞法では、名指しはしていないが3紙のシェアが市場全体の6割以上を占めれば「市場支配的事業者」とみなし、行き過ぎた価格改定や景品、無料提供などが発覚すれば罰金が科される。主要3紙を合わせた約640万の発行部数は6割前後とみられている。
また同法により新設される「新聞流通院」が新聞や雑誌を共同配達し、地方にも専売店を持つ大手紙に対抗する。大手紙との競争に敗れて広告紙面が全体の5割以下の新聞を「新聞発展基金」の優先支援対象とし、救済する。さらに「新聞発展委員会」に各社の収入や大株主の申告を義務づけるなど、経営の透明性を強める規定も設けた。
「インターネット新聞」も初めて新聞並みに支援と規制の対象とし、世界でも有数のネット新聞「オー・マイ・ニュース」など政権に近いサイトが基金の支援を受けられるようになる。
新法について、世界新聞協会(WAN)は「市場の自立性に任せるべきだ」と批判している。
Yahoo!ニュース - 共同通信
新聞法施行に賛否両論 韓国、言論弾圧の声も 【ソウル28日共同】韓国で新聞の市場占有率制限などを柱とした新聞法が28日、施行された。盧武鉉政権や市民団体などは多様なメディアを育成するため必要と訴えるが、「言論規制につながる」との声も根強く、賛否をめぐって熱い議論が続いている。
新聞法は言論被害救済法とともに1月に成立。背景には大部数を誇る朝鮮日報、東亜日報、中央日報という保守色の強い大手3紙が強い影響力を持つ韓国独特のメディア環境があり、盧政権や進歩派の市民団体などは過去の軍事政権や保守派と結託した3紙が今も既得権を背景に不透明で非民主的なオーナー経営を続け、メディア環境がゆがんでいると訴えている。
goo ニュース - (産経新聞)
【潮流】独占規制の新聞法 親北・盧政権の真意は 韓国で二十八日、新しい「新聞法」と「言論仲裁法」が施行された。新法によると「言論の自由の進展と民主的言論の形成、国民の福利増進を目指す言論の健康な発展、読者の権利保護に寄与する」ためという。しかし政府に批判的な保守系の大手新聞や野党陣営などは当初から「政府批判を牽制(けんせい)しようとする言論規制法だ」などとして批判や反発が強く、早くも改正論が出ている。
新しい新聞関連法では大手紙の市場占有率を制限し、新聞発展委員会や新聞流通院を設置して政府資金で新聞販売を支援したり、さらには言論仲裁委員会を通じた新聞に対する市民団体など第三者による監視、批判機能が強化されるなど、新聞を外部の力でコントロールするという流れになっている。
あるいは「編集権独立」のためとして新聞社に対し労使同数による「編集委員会」の設置なども勧めている。
したがって新しい法律の狙うところは、大手紙の影響力を抑え弱小紙を支援するとともに、新聞経営において経営者や所有者の権限を制限し、労組や市民団体などの影響力を拡大するというところにある。
「言論の自由進展」をうたいながら実際はからめ手で「言論規制」の多い内容になっており、批判者の間では「これでは社会主義新聞法だ」といった声さえ出ている。左派・進歩派主導の革新政権といわれる盧武鉉政権らしい“発想”だが、結果的に反政府系の大手紙に厳しく、逆に親政府系の弱小紙を支援するものになっているため、政府・法律による言論介入・規制との印象が強い。
今回の法律に対し言論界の反応も二分され、親政府系や弱小紙、政府の影響下にあるテレビ、そしてマスコミ関連労組などは歓迎、支持している半面、朝鮮日報、中央日報、東亜日報の三大紙などは「国民を愚民化する悪法」などと激しく非難している。
三大紙については新しい法律でその市場占有率は一紙の場合、30%以下、上位三紙では60%以下と制限され、これに違反した新聞は公正取引法による不公正取引として課徴金を科せられる可能性がある。
新聞に対してだけ他の業界や商品以上に占有率を厳しく制限しているのだが、このほか発行部数や販売部数、販売収入、広告収入、株主の詳細など経営資料・情報を政府傘下の新聞発展委員会に申告することが義務付けられるなど、一般企業と同じ税務当局への申告のほかに新たな義務が加わっている。
新聞経営に対する厳しい措置について政府は「新聞の社会的責任」を強調しているが、言論界は「読者の選択や市場を無視した反時代的な考え」と非難し、最大手紙の朝鮮日報をはじめ反対派は憲法違反として憲法裁判所に提訴している。野党の法改正案の行方や憲法判断が控えているため、論議は尾を引きそうだ。
一方、こうした新聞関連法が問題になっているとき、三大紙批判の先頭に立ち新聞法支持を鮮明にしている親・北朝鮮的で左派系の「ハンギョレ新聞」に対し、盧武鉉大統領が一千万ウォン(約百万円)を寄金したことが話題になっている。新聞関連法を進めてきた盧政権の思惑を象徴しているようにみえる。(ソウル 黒田勝弘)