2005年04月13日

*04/13毎日社説 中国反日騒動 市場経済国扱いが遠のく

 
MSN-Mainichi INTERACTIVE 社説 

中国反日騒動 市場経済国扱いが遠のく
 日中関係は政冷経熱と形容されてきた。靖国や歴史教科書など政治的摩擦は拡大しているものの、経済的には相互依存が深まり、貿易や投資が伸びていることから、こう呼ばれてきた。しかし、経熱も怪しくなってきた。

 反日デモが日本の企業に攻撃を加えている。しかも、中国当局が制止しようとしない。そうした光景が世界に伝えられている。

 今回の反日デモの背景には、中国国内での愛国教育、貧富の格差などさまざまな要因があるようだ。しかし、特定の日本企業を攻撃するために反日が利用されていることは見逃せない。

 イトーヨーカドーやジャスコが被害を受けた。中国の大都市ではショッピングセンターの出店ラッシュが続いている。競合関係にある店舗が反日に便乗して嫌がらせを行ったという指摘が出ている。また、三菱重工業やアサヒビールなども攻撃の的になっている。中国が批判している歴史教科書へ協力していることが理由だ。

 企業としての支援の事実はないのだが、三菱重工の場合は原発受注をめぐり激しい競争を行っているし、アサヒビールは北京郊外に新工場を建設して販売攻勢をかけようとした矢先のことだ。ライバル企業の関係者が、ビジネスを有利に運ぶため反日を利用しているのではないかとの指摘がある。

 特定の企業に的を絞って反日サイトが不買を扇動している背景には、ビジネス上の打算が混入していることを、日本企業の多くが感じている。にもかかわらず、中国政府は暴徒化したデモを制止せず、「中国側に責任はない」という態度だ。日本の多くの企業が、中国への社員出張を控える措置をとったのは、当然のことだろう。

 中国は01年にWTO(世界貿易機関)へ加盟したが、15年間は非市場経済国として扱われることになった。その結果、ダンピング(不当廉売)認定で高コストの第三国と比較されるなど、中国製品は容易にダンピングと判定される。

 実際に、中国製品へのダンピング認定が米欧を中心に相次いでいる。このため中国政府は「市場経済国」の資格を得ることが悲願だ。しかし、実際に認めたのはASEAN(東南アジア諸国連合)や中央アジアの国々とブラジルなどで、先進国は豪州とニュージーランドに限られている。

 中国政府の今回の対応は世界が注視し、天安門事件や義和団事件などと比較されている。特殊で政治リスクのある市場との印象が広がると、市場経済国の認定をいくら働きかけても、実現は難しくなるだけだ。

 反日の原点ともいえる日中戦争に日本が突入していく背景には、経済ブロック化の中で日本製品が差別され市場を失ったことがある。戦後、ガット(関税貿易一般協定)に加入した後も、日本は長期間にわたり差別を受け続けた。

 そうした痛みを持つ日本の産業界は、中国の痛みを理解できる立場にある。日本の産業界の不安を放置して、最も損をするのは誰なのか、よく考えるべきだ。

毎日新聞 2005年4月13日 0時10分
posted by じゅりあ at 18:42| Comment(0) | TrackBack(1) | ◆ 瓦版の巻 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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