Sankei Web 産経朝刊
日中摩擦、Wストリート・ジャーナル紙論評 「対日要求は横柄」(05/28 05:00)
反日の動機「国連や台湾」
【ワシントン=古森義久】中国の呉儀副首相が小泉純一郎首相との会談を突然、中止して帰国したことなど日中間の摩擦について、米国大手紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は「小泉氏の土下座拒否」と題した社説(二十五日付)で、中国からの靖国参拝中止などの対日要求を「横柄」と批判し、呉副首相の言動も中国側の圧力戦略だと評した。
同社説はまず、呉副首相の唐突な会談中止について「北京からの間断ない長広舌にもかかわらず、小泉首相が拡張する中華帝国への土下座を拒否していることに対する中国政府部内の不満の高まりの証拠」と位置づけ、「他のアジア諸国も注意すべきだ」と警告。「中国は自国の存在をアジア諸国に認めさせようとしており、台湾と日本がその圧力をまず最初に受けたのだ。もし中国がその方針に固執すれば、他のアジア諸国民もまた横柄な扱いを受けることになる」と指摘し、中国の対日要求を明確に「横柄」と批判した。
同社説は、中国当局が今回、小泉首相が靖国問題での反論に孔子の教えを引用したことなどに怒ったとし、「小泉首相は靖国には戦犯とされた人たちだけでなく一般の将兵の霊が祭られていることを明確にしている」と強調した。
同社説はまた、中国は一九三〇年代の日本の侵略の記憶をいまも新鮮にしておこうと努めているが、日本は既に極めて大きな代償を払い、六十年間も国際社会で好ましい地位を保ち、特に中国にはない自由と民主主義を享受してきたとしたうえで、小泉首相の四月のアジア・アフリカ首脳会議での謝罪声明まで紹介。中国の「歴史問題」をめぐる主張の非を指摘した。
同社説は反日デモについて日本大使館などの破壊を許容した点で「中国当局は明白に間違っていた」と述べ、中国当局が反日行動は自然に発生したかのように主張することは「有罪」だとし、中国政府がインターネットの「地下工作員」を使って世論を誘導するという最近の情報を紹介している。
反日行動の動機について同社説は、「歴史」や「靖国」ではなく、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りへの動きや中国の台湾への軍事脅威に対する日米共同の懸念表明を挙げた。
同社説は、中国の対日戦略として(1)政府が無力を装って大衆を動員する義和団方式(2)道義的により高い立場を目指すアピール−を挙げ、「その二つとも失敗したため、中国はいまや新しい策略を試みている」と指摘。呉副首相が訪日中にトヨタ自動車の奥田碩会長らに日中関係の政治面での悪化は経済面に悪影響を及ぼすという趣旨の警告をしたことを、「小泉首相の頭ごしに日本の財界に訴えようとする新策略」だと述べている。
同社説は結論として、この種の中国の策略は「危険なゲーム」だとして、日本国民の92%が中国の日本への対応に納得できないという読売新聞の世論調査結果を引用し、「中国は日本が民主主義国家であり、その政治家は国民の意思に耳を傾けねばならないことを理解しなければならない。呉副首相の会談拒否は礼節を重んじる国では、よく受け取られない」と論評した。
◇
■“日本責任論”を強調 会談中止問題で中国マスコミ
【北京=野口東秀】中国の呉儀副首相が小泉純一郎首相との会談をキャンセルしたことについて中国では、小泉首相と日本政府に「実質的な責任」があり、「会談を壊したのは小泉(首相)だ」というキャンペーンが始まっている。
共産党機関紙「人民日報」系列の国際問題専門紙「環球時報」は二十七日付で、「中国は関係改善に努力してきた。(それを無視し)失礼なのは日本の方だ」と強調した。
同紙は、十六日の小泉首相の靖国神社参拝に関する国会答弁を「道理のかけらもない」としたうえで、「(呉副首相の訪日期間中に)日本政府は休みなく中国を挑発し続けた」と批判。具体例として、尖閣諸島(中国名・釣魚島)や沖ノ鳥島に本籍を持つ日本人がいるという内容の政府答弁書や、石原慎太郎東京都知事による沖ノ鳥島での「パフォーマンス」などを挙げた。
また、呉副首相の訪日目的は「小泉首相に会うことではなく、友好の誠意を日本人民に示すためだった」とし、中国に対抗しようとした日本側のいくつかの動きが「訪日の政治的雰囲気に悪影響を与えた」とし、それが会談キャンセルの理由となったと主張。「中国を挑発し、失礼なのは日本だ」と決めつけた。
国営新華社通信が発行する週刊紙「国際先駆導報」(二十六日発売)も、呉副首相の訪日は胡錦濤国家主席の「(両国の交流拡大など)五つの主張」を実行に移すことが目的だったとし、「小泉首相の発言の結果、両国関係がさらに陰った。日本は大国としての正義と道義を持つべきだ」と非難した。
新華社は電子版でも、「会見を壊し、両国関係を壊したのは小泉だ」とし、「中国に対する暴挙であり、中国が強く反応しなければ、中国が苦い結果を味わう危険性があった」と“日本責任論”を強く打ち出した。
また、「中国政府が靖国問題について強く抗議していることで、日本国内では小泉批判が高まっている」との報道が増えているのも目立つ。
◇
■中国大使館、本紙に抗議
中国の呉儀副首相が小泉純一郎首相との会談を取りやめた背景に、中国軍内の動静が関係したとの情報を伝えた本紙記事(二十七日付三面)について、駐日中国大使館の黄星原参事官(報道担当)は同日、産経新聞社に対し、「報道内容は事実無根だ」と抗議した。
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(産経新聞) - goo ニュース
中国反日デモ 常任理入り阻止狙い Wポストに米元高官寄稿 経済拡大で攻勢
【ワシントン=古森義久】米国の歴代民主党政権で高官として外交政策にかかわってきたリチャード・ホルブルック氏は二十七日付のワシントン・ポストへの寄稿で中国の対日政策に関連して、最近の反日デモの真の狙いは歴史ではなく、日本を国連安保理の常任理事国に絶対にさせたくないという意思表示だったとする見解を発表した。
ホルブルック氏は「中国が攻勢に出る」という題の寄稿論文で中国がこのところ経済の拡大に見合う「より積極果敢な外交政策」を展開する意図を行動に表してきたとして、今年四月の反日デモもその一環として位置づけている。
同氏はまず反日デモの背景について「政府の容認なしには起こり得なかった」と述べ、中国政府の意図があってこそデモが起きたとする見方を明確にしたうえで、「その反日デモは表面的には日本の教科書の第二次世界大戦での日本の残虐行為の誤った提示などに対する抗議とされているが、実際には中国政府は日本の国連安保理常任理事国入りに関して公式言明のいかんにかかわらず、絶対に日本の常任理事国入りは望まないという信号を日本側に送るための手段だったのだ」と論評した。
ホルブルック氏は最近の中国がまずアジアでの大国として最大の影響力をふるおうとしていると述べ、この外交力の拡大のなかで日本の外交的動きを抑えようとしたことが今回の反日デモの意味だとしている。
同氏は一九七九年に米国が中国との国交を樹立したとき、民主党カーター政権の東アジア・太平洋担当の国務次官補を務めていたほか、九〇年代はクリントン政権に入り、米国の国連大使などを歴任した。
◇
◆安倍氏も指摘
自民党の安倍晋三幹事長代理は二十八日、札幌市内で講演し、中国の呉儀副首相による小泉純一郎首相との会談キャンセルや反日デモへの取り締まりが十分に行われないことについて「本当に北京五輪が開けるのか。目的は日本の国連安保理常任理事国入り反対にある」との見方を示した。
さらに、「日中関係が悪くなることは中国経済に悪影響が出る」と指摘、首相の靖国参拝について「日本のために命をささげた人を祭る靖国を参拝するのは当然で、どこの国でも行っている慰霊の行為だ」と語った。
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- livedoor ニュース 共同
中国の対日批判は二重基準 天安門遺族ら胡主席に書簡
中国の対日批判は二重基準 天安門遺族ら胡主席に書簡
【北京28日共同】ニューヨークに本部を置く人権団体「中国人権」によると、1989年の天安門事件の遺族ら125人は28日までに、中国政府が日本要人の靖国神社参拝などを歴史の改ざんと批判しながら、自ら起こした天安門事件を反省せず「二重基準」を適用していると非難する、胡錦濤国家主席あての書簡を公表した。
書簡は、事件で一人息子を亡くした中国人民大学元助教授、丁子霖さんらが書いた。中国政府が「愛国主義教育」で日本などを厳しく批判しながら、自国の歴史については「隠ぺい」していると訴えており、胡指導部が目指す「調和の取れた社会」実現のためにも、事件の再評価を求めた。
書簡は、天安門事件が「死者数千人、負傷者数万人に上る“大虐殺”だった」と主張。だが、政府は事件についての報道を禁じており「若者は事件のことをまったく知らない」「南京大虐殺の歴史を消そうとする日本の右翼よりも(隠ぺい工作に)成功している」と述べた。
日中摩擦、Wストリート・ジャーナル紙論評 「対日要求は横柄」(05/28 05:00)
反日の動機「国連や台湾」
【ワシントン=古森義久】中国の呉儀副首相が小泉純一郎首相との会談を突然、中止して帰国したことなど日中間の摩擦について、米国大手紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は「小泉氏の土下座拒否」と題した社説(二十五日付)で、中国からの靖国参拝中止などの対日要求を「横柄」と批判し、呉副首相の言動も中国側の圧力戦略だと評した。
同社説はまず、呉副首相の唐突な会談中止について「北京からの間断ない長広舌にもかかわらず、小泉首相が拡張する中華帝国への土下座を拒否していることに対する中国政府部内の不満の高まりの証拠」と位置づけ、「他のアジア諸国も注意すべきだ」と警告。「中国は自国の存在をアジア諸国に認めさせようとしており、台湾と日本がその圧力をまず最初に受けたのだ。もし中国がその方針に固執すれば、他のアジア諸国民もまた横柄な扱いを受けることになる」と指摘し、中国の対日要求を明確に「横柄」と批判した。
同社説は、中国当局が今回、小泉首相が靖国問題での反論に孔子の教えを引用したことなどに怒ったとし、「小泉首相は靖国には戦犯とされた人たちだけでなく一般の将兵の霊が祭られていることを明確にしている」と強調した。
同社説はまた、中国は一九三〇年代の日本の侵略の記憶をいまも新鮮にしておこうと努めているが、日本は既に極めて大きな代償を払い、六十年間も国際社会で好ましい地位を保ち、特に中国にはない自由と民主主義を享受してきたとしたうえで、小泉首相の四月のアジア・アフリカ首脳会議での謝罪声明まで紹介。中国の「歴史問題」をめぐる主張の非を指摘した。
同社説は反日デモについて日本大使館などの破壊を許容した点で「中国当局は明白に間違っていた」と述べ、中国当局が反日行動は自然に発生したかのように主張することは「有罪」だとし、中国政府がインターネットの「地下工作員」を使って世論を誘導するという最近の情報を紹介している。
反日行動の動機について同社説は、「歴史」や「靖国」ではなく、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りへの動きや中国の台湾への軍事脅威に対する日米共同の懸念表明を挙げた。
同社説は、中国の対日戦略として(1)政府が無力を装って大衆を動員する義和団方式(2)道義的により高い立場を目指すアピール−を挙げ、「その二つとも失敗したため、中国はいまや新しい策略を試みている」と指摘。呉副首相が訪日中にトヨタ自動車の奥田碩会長らに日中関係の政治面での悪化は経済面に悪影響を及ぼすという趣旨の警告をしたことを、「小泉首相の頭ごしに日本の財界に訴えようとする新策略」だと述べている。
同社説は結論として、この種の中国の策略は「危険なゲーム」だとして、日本国民の92%が中国の日本への対応に納得できないという読売新聞の世論調査結果を引用し、「中国は日本が民主主義国家であり、その政治家は国民の意思に耳を傾けねばならないことを理解しなければならない。呉副首相の会談拒否は礼節を重んじる国では、よく受け取られない」と論評した。
◇
■“日本責任論”を強調 会談中止問題で中国マスコミ
【北京=野口東秀】中国の呉儀副首相が小泉純一郎首相との会談をキャンセルしたことについて中国では、小泉首相と日本政府に「実質的な責任」があり、「会談を壊したのは小泉(首相)だ」というキャンペーンが始まっている。
共産党機関紙「人民日報」系列の国際問題専門紙「環球時報」は二十七日付で、「中国は関係改善に努力してきた。(それを無視し)失礼なのは日本の方だ」と強調した。
同紙は、十六日の小泉首相の靖国神社参拝に関する国会答弁を「道理のかけらもない」としたうえで、「(呉副首相の訪日期間中に)日本政府は休みなく中国を挑発し続けた」と批判。具体例として、尖閣諸島(中国名・釣魚島)や沖ノ鳥島に本籍を持つ日本人がいるという内容の政府答弁書や、石原慎太郎東京都知事による沖ノ鳥島での「パフォーマンス」などを挙げた。
また、呉副首相の訪日目的は「小泉首相に会うことではなく、友好の誠意を日本人民に示すためだった」とし、中国に対抗しようとした日本側のいくつかの動きが「訪日の政治的雰囲気に悪影響を与えた」とし、それが会談キャンセルの理由となったと主張。「中国を挑発し、失礼なのは日本だ」と決めつけた。
国営新華社通信が発行する週刊紙「国際先駆導報」(二十六日発売)も、呉副首相の訪日は胡錦濤国家主席の「(両国の交流拡大など)五つの主張」を実行に移すことが目的だったとし、「小泉首相の発言の結果、両国関係がさらに陰った。日本は大国としての正義と道義を持つべきだ」と非難した。
新華社は電子版でも、「会見を壊し、両国関係を壊したのは小泉だ」とし、「中国に対する暴挙であり、中国が強く反応しなければ、中国が苦い結果を味わう危険性があった」と“日本責任論”を強く打ち出した。
また、「中国政府が靖国問題について強く抗議していることで、日本国内では小泉批判が高まっている」との報道が増えているのも目立つ。
◇
■中国大使館、本紙に抗議
中国の呉儀副首相が小泉純一郎首相との会談を取りやめた背景に、中国軍内の動静が関係したとの情報を伝えた本紙記事(二十七日付三面)について、駐日中国大使館の黄星原参事官(報道担当)は同日、産経新聞社に対し、「報道内容は事実無根だ」と抗議した。
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(産経新聞) - goo ニュース
中国反日デモ 常任理入り阻止狙い Wポストに米元高官寄稿 経済拡大で攻勢
【ワシントン=古森義久】米国の歴代民主党政権で高官として外交政策にかかわってきたリチャード・ホルブルック氏は二十七日付のワシントン・ポストへの寄稿で中国の対日政策に関連して、最近の反日デモの真の狙いは歴史ではなく、日本を国連安保理の常任理事国に絶対にさせたくないという意思表示だったとする見解を発表した。
ホルブルック氏は「中国が攻勢に出る」という題の寄稿論文で中国がこのところ経済の拡大に見合う「より積極果敢な外交政策」を展開する意図を行動に表してきたとして、今年四月の反日デモもその一環として位置づけている。
同氏はまず反日デモの背景について「政府の容認なしには起こり得なかった」と述べ、中国政府の意図があってこそデモが起きたとする見方を明確にしたうえで、「その反日デモは表面的には日本の教科書の第二次世界大戦での日本の残虐行為の誤った提示などに対する抗議とされているが、実際には中国政府は日本の国連安保理常任理事国入りに関して公式言明のいかんにかかわらず、絶対に日本の常任理事国入りは望まないという信号を日本側に送るための手段だったのだ」と論評した。
ホルブルック氏は最近の中国がまずアジアでの大国として最大の影響力をふるおうとしていると述べ、この外交力の拡大のなかで日本の外交的動きを抑えようとしたことが今回の反日デモの意味だとしている。
同氏は一九七九年に米国が中国との国交を樹立したとき、民主党カーター政権の東アジア・太平洋担当の国務次官補を務めていたほか、九〇年代はクリントン政権に入り、米国の国連大使などを歴任した。
◇
◆安倍氏も指摘
自民党の安倍晋三幹事長代理は二十八日、札幌市内で講演し、中国の呉儀副首相による小泉純一郎首相との会談キャンセルや反日デモへの取り締まりが十分に行われないことについて「本当に北京五輪が開けるのか。目的は日本の国連安保理常任理事国入り反対にある」との見方を示した。
さらに、「日中関係が悪くなることは中国経済に悪影響が出る」と指摘、首相の靖国参拝について「日本のために命をささげた人を祭る靖国を参拝するのは当然で、どこの国でも行っている慰霊の行為だ」と語った。
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中国の対日批判は二重基準 天安門遺族ら胡主席に書簡
中国の対日批判は二重基準 天安門遺族ら胡主席に書簡
【北京28日共同】ニューヨークに本部を置く人権団体「中国人権」によると、1989年の天安門事件の遺族ら125人は28日までに、中国政府が日本要人の靖国神社参拝などを歴史の改ざんと批判しながら、自ら起こした天安門事件を反省せず「二重基準」を適用していると非難する、胡錦濤国家主席あての書簡を公表した。
書簡は、事件で一人息子を亡くした中国人民大学元助教授、丁子霖さんらが書いた。中国政府が「愛国主義教育」で日本などを厳しく批判しながら、自国の歴史については「隠ぺい」していると訴えており、胡指導部が目指す「調和の取れた社会」実現のためにも、事件の再評価を求めた。
書簡は、天安門事件が「死者数千人、負傷者数万人に上る“大虐殺”だった」と主張。だが、政府は事件についての報道を禁じており「若者は事件のことをまったく知らない」「南京大虐殺の歴史を消そうとする日本の右翼よりも(隠ぺい工作に)成功している」と述べた。